慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんの
体験談
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- Fさん 40歳代 男性 無治療経過観察中
- 掲載している体験談は、個々の患者さんのご経験をインタビューした内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。
- 診断や治療などは当時のガイドライン等に基づいて行われております。
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Fさん 40歳代 男性
無治療経過観察中
目次
- 前編
- 診断から経過観察のモヤモヤした悩み、不安
- 後編
- 経過観察の不安の解消、前向きな気持ちに
前編
診断から経過観察のモヤモヤした悩み、不安
1. 健康診断をきっかけに慢性リンパ性白血病の診断
私は毎年健康診断を受けていましたが、ある時の健康診断で白血球の数値が30000/μLと高いことが発覚しました。そこで検診を受けてから10日ほど経過後、血液内科の専門の医師がいる病院を受診しました。受診した病院は自分で調べて、血液の専門の先生がいて自宅から近い病院を選択しました。
血液内科でも血液検査を受けたところ、白血球の数値は健康診断の結果と同じくらいでしたが、加えてリンパ球の数値が高いことが分かり、血液検査の結果から慢性リンパ性白血病の可能性が高いと説明を受けました。そして慢性リンパ性白血病についてのパンフレットを見せてもらいながら、病気についての説明を受けました。
慢性リンパ性白血病という病気の可能性が高いと聞いて、とても不安な気持ちになりました。ただ説明を受けたときに、風邪をひいた場合にもリンパ球が増えることがあり、現時点では確定診断ではないとも聞いていたので、「慢性リンパ性白血病ではなくて、ただの風邪であってほしい」と願う気持ちもありました。加えて、確定診断のために受ける予定の骨髄検査についても恐怖を感じていました。
慢性リンパ性白血病の可能性について説明を受けてからさらに1か月ほど経過後、造影剤を用いたCT検査と骨髄検査を受け、骨髄検査の結果から慢性リンパ性白血病の確定診断となったことを伝えられました。またCT検査の結果では、首のリンパ節と脾臓が大きくなっているとのことでしたが、慢性リンパ性白血病の病気分類(Rai分類やBinet分類)のステージは比較的軽いことから、経過観察の方針で良いと説明されました。
2. 経過観察への不安と、主治医とのコミュニケーションのモヤモヤ
ただ自分の気持ちとしては「経過観察のままで大丈夫なのかもしれない」と思う反面、「治療を急がなくても大丈夫なのだろうか」という、安堵と不安が入り混じる気持ちがありました。急激に病気が悪くなるRichter症候群という状態についても事前にインターネットを使用して検索して知っていたため、より不安が強くなりました。主治医から説明を受けた場には妻も同席していましたが、進行がゆっくりな病気だと聞いても不安には思っている様子でした。
ところが経過観察が始まった当初は、診察の時の主治医とのコミュニケーションについてはモヤっとした気持ちを抱えていました。私自身はもともと神経質で、何かあると考えこんでしまう性格であると自分でも感じているのですが、特に確定診断がついたばかりのころはかなり神経質になっていたと思います。そのため診察の時には主治医に対して色々と質問をしていたのですが、主治医はあまり明確に答えを返してくれない印象がありました。経過観察はどれくらいの期間になるかと聞いてみても、ふんわりとした回答しか返ってきませんでした。当時は診察のたびに質問をしても曖昧な返答が返ってくるようなやり取りが毎回のようにあり、モヤモヤした気持ちでした。
3. 患者会への参加を通して、セカンドオピニオンの実施を決める
そのような折に、妻が慢性リンパ性白血病の患者会があることを調べて私に教えてくれました。そして、すぐに患者会の事務局に連絡を取り、患者会に入会することにしました。
後編
経過観察の不安の解消、前向きな気持ちに
1. セカンドオピニオンでこれまでの不安を解消
慢性リンパ性白血病と診断されてから半年ほど経過した頃に、今までの検査結果を持参して、セカンドオピニオン先の先生を受診しました。診断されてからずっと疑問に思っていたこと、具体的には「治療は開始せずに経過観察の方針で大丈夫か」「どのくらいの期間は経過観察で大丈夫か」といったことを質問しました。回答としては、「経過観察で大丈夫な期間は人によって違う」と説明を受けて、結論としては治療の方針は主治医の先生から言われていた内容と同じでした。
重ねてRichter症候群についても心配だということも伝えたところ、Richter症候群になる危険性が高い患者さんが持っていることが多い17p染色体の欠失という染色体異常がないか検査をしていただき、結果として17p染色体の欠失が無いことが分かったのでとても安心しました。
セカンドオピニオン先の先生は、私が不安に思っていた点を払拭してくれるように一つ一つ適切な返答や対応をしてくれたり、また雰囲気も含めてコミュニケーションがとりやすくて、いい先生だと感じました。セカンドオピニオンで不安が和らいだこともあり、今後の診察は通院中の病院で引き続き、間隔を1ヶ月から3ヶ月毎に空けて診察を継続することにしました。
2. 再度のセカンドオピニオンで治療方針を相談—経過観察の方針に
再度のセカンドオピニオンでは、「治療開始したら薬をずっと服用する必要があり、金銭的にも負担になる」「慢性リンパ性白血病の治療の進歩については、新たな治療薬も開発されている」といったアドバイスを聞くことができました。
セカンドオピニオンで聞いた話をもとに主治医の先生と再度相談をして、今すぐには治療を開始せず、今後のCT検査の結果をもとに治療を始めるか考える方針となりました。
3. 同じ病気の人とつながることでの安心感
患者会のおかげで精神的に落ち着いているというのもあると思います。患者会では色々な経過の方がいらっしゃいます。例えば自分が不安に感じていたRichter症候群なってしまった方もいらっしゃるのですが、そのような大変な状況の方でも投薬治療などで元気に過ごせている話を聞けたりするので、もし自分が最悪の状況に陥ったとしても何とかなるのでは?と前向きになることができました。投薬治療を受けながら長い期間元気に過ごせている方もいて、もし自分の治療が開始してもそれくらい生きられるのでは?という安心材料になっています。
4. 高価な治療薬への金銭的な不安
金銭的には現在はそこまで負担にはなっていません。3ヶ月ごとの通院では診察と血液検査だけなので大きな金額にはならないですし、CT検査も受ける時は追加の出費があるものの、そこまで負担とは感じていません。ただ、診断の時の検査や、セカンドオピニオンのための受診費や検査費用は高額だったなと思います。
現在も病気はすこしずつ悪くなってきているので、治療が開始した時にかかる費用は心配しています。保険には加入しているものの、私が契約している保険では通院のみでの治療は給付対象外なので、今後の治療方針を考えると給付金はもらえないと思っています。また高額療養制度はありますが、制度をつかったとしてもかなりの負担になってしまうと思っています。
治療が始まった時に備えて特別何かをするということはありませんが、病気と診断される前よりは出費を抑えるようにはなりました。
5. 慢性リンパ性白血病の方もしくはそのご家族の方に伝えたいメッセージ
慢性リンパ性白血病の患者さんに伝えたいのは、周りの人に相談することが大切だということです。主治医とのコミュニケーションに悩んだ時期もありましたが、自分が精神的に落ち着けていなかったことも原因だったかな、と振り返って思うこともあり、家族や患者会などの周りの人に相談することで冷静になることができた気がしています。また治療薬もどんどん進歩しているので、そういった点でも不安にならなくても大丈夫だと思います。