慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんの
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- Eさん 50歳代 女性 治療中
- 掲載している体験談は、個々の患者さんのご経験をインタビューした内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。
- 診断や治療などは当時のガイドライン等に基づいて行われております。
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Eさん 50歳代 女性
治療中
目次
- 前編
- 慢性リンパ性白血病と診断直後に思わぬ悪化、治療開始へ
- 後編
- 移植を乗り越えて、もう一度の治療開始へ
前編
慢性リンパ性白血病と診断直後に思わぬ悪化、治療開始へ
1. 検診をきっかけに慢性リンパ性白血病と診断
健康診断の検査結果の項目説明欄に、白血球の数が多い場合には白血病という病気の可能性があると書いてあるのを見ましたが、その時は怖かったので特に自分で詳しく調べたりはしませんでした。
先生からは2週間くらいで結果が出ると言われましたが、重篤で今すぐなにかがあるという病気ではないと説明を受けたことと、その頃は仕事が立て込んでいたこともあって、検査から1カ月後に結果を聞きに行くことにしました。そして、予定通りの診察日に夫と一緒に受診して、「慢性リンパ性白血病」と確定診断を受けました。ただ確定診断を受けた時点では「経過観察の方針で、現時点では治療は必要なく、赤血球や血小板の数が減ったら治療を開始する」と説明を受けました。そして、3ヶ月後に経過観察のために再度診察をすることとなりました。重篤な病気ではないと説明を受けていたので、診断当時は病気について心配するようなことはなく、いつも通りの生活をすればいいんだと思っていました。
2. 診断後すぐの悪化―Richter症候群へ進行と診断
確定診断後1ヶ月くらいで首と脇のリンパ節が腫れてきて、痛みも出てきました。同じ頃から寝汗をかくようにもなったので、診断後3か月後に予定されていた経過観察の診察を待たずに受診しました。
診断の結果は「病気が悪くなっている可能性が高い」とのことで、先生から「飲み薬を今日から出すので飲んでみますか?」と提案されました。同時に、飲み薬は金銭的負担のかかる薬であることと、治療を始めたら飲み続けなければならないことも説明されました。
飲み薬での治療を開始するという方針そのものに納得がいかないというわけではなかったのですが、こちらが大変な症状があるにもかかわらず、説明する口調が軽い印象があったのと、これまでの診察中の態度(診察中に電話を長々したりしていた等)も考えて、直感的にですがこの先生とは相性が良くないなと思いました。
診察を受けた病院よりも自宅に近い場所に、別の専門病院があることを知っていたため、診察の後にそちらの病院へ転院が出来ないか先生に相談したところ、転院も可能とのことで紹介状を作ってもらいました。転院先の病院も混み合っているということで、予約をしてから3週間程経過して、やっと初回の受診をすることができました。
初回受診をした日に診断のための検査をもう一度行うことになり、前の病院でも行っていた血液検査や骨髄検査を受けました。さらに、腫れているリンパ節を詳しく調べるためのPET-CT検査や、左の首のリンパ節を生検に出しました。検査の結果がすべて出そろうのを待つことなく、慢性リンパ性白血病からびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫という病気に進行するRichter症候群の可能性が高いと診断され、翌週には入院して治療を開始することとなりました。のちのち検査の結果が戻ってきて、Richter症候群で間違いないことが分かり、それに加えてTP53変異という慢性リンパ性白血病で起こるとよくない変化があることが分かりました。
3. ありがたかった子供達への配慮
入院治療中に主治医の先生からの提案で、子供達の不安も強いだろうとのことで、小児科の先生やカウンセラーを交えて子供達に病気の説明をしてくれました。子供達はその時のことは覚えていないといっていますが、子供達は不安そうな様子でしたし、何より私自身も子供達への心配が強かったので、前述のような病院側の配慮は大変ありがたかったです。
4. 点滴抗がん剤での治療と骨髄移植の準備
入院してから点滴の抗がん剤で治療をすることとなりました(全3クール)。
1クール目は入院しながらの治療で、気持ち悪かったり、髪の毛が抜けたりといった副作用がありました。それに加えて2クール目の直前というところで熱がでてしまったのが大変でしたが、感染症によるものということで、点滴の抗生剤で治療を受けたことで熱はさがってくれました。
2クール目も引き続き入院しながらの治療で、最初の1週間くらいの時期に少し気持ち悪い程度の吐き気はあったものの、特に大きなトラブルはありませんでした。2クール目が終わるころには、首の腫れは自分で触ってわからないくらいになっていて、痛みも引いていたため、無事に退院することができました。またRichter症候群という状態の慢性リンパ性白血病の患者さんは抗がん剤治療だけで治らないことが多いという理由で、2クール目終了のタイミングで、今後の治療方針として骨髄移植をすることが決まりました。家族でドナーになれるいい条件の人がいなかったため、骨髄バンクに登録して条件のあったドナーを探すことになりました。また骨髄バンクでドナーが見つからない場合に備え、臍帯血バンクのドナーも並行して探すことになりました。
2クール目が大きな問題がなかったこともあって、3クール目は外来で治療を受けました。3クール目は最初の1週間くらいはだるさが強かったですが、それ以外の副作用はありませんでした。
3クールの治療を終えて、治療結果を測るためにCT検査を行いました。その結果、病気は十分には小さくなっていなかったようでした。骨髄移植を受けるためにはもっと腫瘍が小さくなっている必要があるということで、別の点滴の抗がん剤治療をしてから骨髄移植をする方針を提案されました。
この治療方針でよいかを判断してもらうために、念のためセカンドオピニオンを受けることにしました。セカンドオピニオンで受診する先生は、ネットやテレビに出ている有名な先生を自分で選びました。結果としては治療中の病院で提案されている治療方針で大丈夫ということだったので、安心してその後の治療を受けることができました。
後編
移植を乗り越えて、もう一度の治療開始へ
1. 移植方針の思いもよらない変更、失望しながらも決断へ
ただ移植の予定日の1カ月位前に、骨髄バンクのドナーさんから延期をしてほしいと連絡があり、骨髄バンクのドナーさんを待って移植の時期を延期する or 臍帯血バンクのドナーさんで予定通りの日程で移植を行う、という治療方針のどちらかを選択することになりました。
最終的には主治医の先生と相談して、骨髄バンクのドナーさんの都合でまた延期になってしまうリスクがあることと、もともと子供の長期休暇に合わせて移植の日程を決めていたこと、そして何より主治医の先生は臍帯血の方がいいのではと考えていたことなどから、予定通りの日程で臍帯血移植を受けることを決心しました。
移植については病院で独自に作った資料などをもとに合併症などについて説明してもらいました。その時に、5年生存率が40%から60%程度と言われました。また骨髄バンクのドナーさんからの移植と比較して、臍帯血移植はドナーさんの細胞が増えてこない生着不全という状態になる可能性が高いため、生着不全の場合どうするかについても説明を受けました。
2. 臍帯血移植
移植を受ける1週間くらい前から移植の前々日まで、点滴の抗がん剤と放射線照射による治療を受けました。放射線による副作用として、抗がん剤治療を受けながらも毎日入れていたお風呂にも入ることができないほどの頭の痛み・気持ち悪さ・だるさがありました。ただ放射線による副作用の症状は、副作用があった翌々日(移植の当日)にはよくなっていました。
予定通りの日程で臍帯血移植を受けて、そのあとは血液の細胞が増えてくるのを待ちました。口内炎の副作用などが出ることが多いと事前に説明を受けていましたが、抗がん剤の治療中に副作用を緩和するために氷をなめたり、移植の前後で歯科の先生が毎日見に来てくれて口のケアを指導してくれたりしたおかげなのか、口内炎はほとんどできませんでした。
事前の説明では、移植後1ヶ月くらいでドナーさんの細胞が増えてくると聞いていましたが、予定より早くて移植から2,3週間で生着とよばれる状態まで細胞が増えてくれました。
生着後が大変で、顔の皮膚にぼつぼつした皮疹が出た後に嘔吐と下痢といった症状が出て、1カ月半くらいは食事を取ること出来ませんでした。また水もまずく感じてしまい飲めないくらいでした。徐々に吐き気などの症状が和らぎ、移植を受けてから3カ月くらいで退院できました。
3. 慢性リンパ性白血病はまだ・・・
退院後半年くらいにかけて、合併症予防のための薬を服用しました。服用完了後、骨髄検査やPET-CT検査を受けました。検査の結果、リンパ腫の病変は無くなっていましたが、慢性リンパ性白血病は残っているということでした。主治医の先生からは、病院としてRichter症候群の前例がなく、治療をすぐに始めるのがよいか分からないと正直に言われて、経過観察の方針となりました。
診断結果を聞いたときの気持ちとして、慢性リンパ性白血病はもともと治らない病気と聞いていたので、病気が残っていてショックだという気持ちよりも、移植を乗り越えられたことの安心感の方が強かったです。
話が変わりますが、経過観察中しばらくの間、帯状疱疹の予防薬を服用していましたが、ある時服用をやめました。すると、服用をやめてから1,2週間くらいで胃腸の調子が悪くなって、かかりつけの胃腸科を受診したところ、お腹の診察で皮膚もぽつぽつしたものができていて、帯状疱疹ではないかと言われました。その後、慢性リンパ性白血病で通院している病院を受診して帯状疱疹の治療薬を出してもらうことになりました。
4. 慢性リンパ性白血病の進行、治療の開始へ
帯状疱疹を発症してから慢性リンパ性白血病の細胞が増えてきました。帯状疱疹の痛みが落ち着いてから、慢性リンパ性白血病の治療をこのまましなくて大丈夫か考えるようになって、もう一度セカンドオピニオンを受診しました。
二度目のセカンドオピニオンは、主治医の先生から勧められた先生から受けました。セカンドオピニオン受診のタイミングはコロナが流行している時期だったこともあり、「急いで治療を始めなくてもいいのでは?」との結果でした。
セカンドオピニオンから1年ほど経過した頃、痛みを伴う首元の腫れが出てきました。首のリンパの腫瘍で生検を実施したところ、慢性リンパ性白血病の細胞が増えていることが分かり、飲み薬での治療を開始しました。
治療開始後の初めの1,2週間はお腹がゆるくなりましたが、以降はこれといった副作用はありませんでした。治療の効果としては、治療を始めてすぐに首の腫れが引いてきて、薬が効いているのを実感できました。また血液検査でもそれまで増えていた慢性リンパ性白血病の細胞は減ってきており、効果が出てきているということでした。
5. 患者会への参加
患者会は経過観察中の人が多くて、参加者の多くの方と比較すると自分は重症なほうだということもあって、情報を手に入れるというよりは自分の体験を話すことが多いです。自分の病院では慢性リンパ性白血病で通院中の方は他にいないのですが、患者会に行くと「こんなに多くの自分と同じ病気の人がいるのか」と仲間意識を感じられます。
6. 慢性リンパ性白血病の方もしくはそのご家族の方に伝えたいメッセージ
慢性リンパ性白血病は経過の長い病気なので、検査結果や自分の状態に一喜一憂しないことが大事だと思います。そして治療が必要となった時には、医師とよく話して後悔のない選択をすることが大切だと思っています。