慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんの
体験談
- CLL
- HOME
- 慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんの体験談
- Bさん 50歳代 男性 治療後経過観察中
- 掲載している体験談は、個々の患者さんのご経験をインタビューした内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。
- 診断や治療などは当時のガイドライン等に基づいて行われております。
-
NEW
Bさん 50歳代 男性
治療後経過観察中
目次
- 前編
- CLLと確定診断されるまで
- 後編
- 造血細胞移植とその後の経過
前編
CLLと確定診断されるまで
1. 2か月程度続く咳の症状から思わぬ病名
しかし、症状が一向に改善しないため、自宅近くの別のクリニックを受診しました。ここで初めて、採血とレントゲンを受け、胸水が溜まっていることが判明しました。結核か悪性リンパ腫の可能性があるため早く検査を受けるのが望ましいと判断されて、大学病院への紹介状を書いてもらい、その日のうちに大学病院を受診しました。大学病院でCT検査受けた結果、悪性リンパ腫が強く疑われるといわれました。
リンパ腫が疑われる、つまりがんの可能性があると初めて伝えられたときには、48歳で死ぬかもしれない病気にかかったのではないかと思い、大変ショックを受けました。インターネットで調べたところ悪性リンパ腫には多くの種類があり、タイプによって予後が異なることを知り、自分がどのタイプに当てはまるのか、非常に不安でした。ただDLBCLという病名を聞いた時にはDLBCLは抗癌剤治療で多くの方が治癒する病気ということであるということを調べて知っていたため、治療に専念すればよくなるだろうと楽観的に考えていました。また大学病院を受診した日から仕事は休職していましたが、人生のブレイクの1つと考えて休職を継続して治療に専念することにしました。
2. 思うように効かない治療、そしてたどり着いた別の診断
2クール目の抗癌剤でも同じような状況でした。治療の効果は持続せず、治療は十分に効いていないと判断されました。そこで、DLBCLに対する別の点滴治療を受けましたが症状は悪くなり、お腹の張りの症状も出てきました。
3. CLLとしての治療とセカンドオピニオン
検査の結果が返ってきて、慢性リンパ性白血病(CLL)との確定診断が下りました。CLLと診断されてすぐに、分子標的薬という種類の飲み薬で治療が開始されました。飲み薬を飲み始めて咳やお腹の張りなどの症状はよくなって、血液検査の結果も上向いていきました。飲み薬による治療を続けることで自覚症状はほとんどなくなって、このまま完治するのではないかと感じました。また副作用も特に感じませんでした。しかし主治医から、分子標的薬(BTK阻害薬)がいずれ効かなくなる可能性があることと、再発した場合に次の選択肢がなくなってしまうリスクがあるとの説明を受け、同種造血幹細胞移植を行うことを提案されました。
CLLと診断された際に、診断結果と異なる病気として治療されていたこともあり、セカンドオピニオンを求めていました。主治医の先生に経過をまとめてもらい、もともと名前を聞いたことがあった病院でのセカンドオピニオンの予約をとりました。
ただセカンドオピニオンを受けるまえに自分で調べたところ、CLLは悪性リンパ腫の一種であり、DLBCLと同様の症状をとりうることがわかりました。CLLに対して今使われている治療薬は効果があることも理解することができました。そのためセカンドオピニオンは意見を聞きに行くというよりは、治療方針が正しいことを確認しにいくようなイメージで受診しました。実際にセカンドオピニオンでは今の治療を続けながら移植を受ける方針で問題ないと説明されましたので、通院中の病院で移植を受けることにしました。
セカンドオピニオンに関しては確定診断をつけるための手術をするかどうかを決める最初の時点で受けていればと後悔しています。
後編
造血細胞移植とその後の経過
1. 過酷な造血細胞移植中の入院生活
移植治療によって免疫力が極端に減ってしまうため、無菌室という感染症を予防するために隔離された部屋に入りました。まずCLLの細胞を減らすための大量の抗癌剤と放射線照射を組み合わせた前処置という治療を受けました。前処置を受けてからは食欲不振などの副作用により食事をとることが難しくなり、栄養点滴を投与することになりました。
移植を受けて1カ月程度でドナーさんの細胞が増えてきて、好中球という細胞の数が基準の値を超えたため無菌室から一般病床に移ることができました。そのころから頭痛や発熱、食欲不振などの症状は徐々に改善してきたため、移植を受けてから50日程度で退院することができました。
2. 退院してからも続くGVHDという副作用
退院した2週間後に突然食欲がなくなってしまいました。食事がとれないことで体重が減少し、体力や筋力が落ちました。病院を受診したところ消化管の移植片対宿主病(GVHD)というドナーさんの細胞が自分の体を攻撃する病気と診断されました。入院したうえで免疫抑制剤による治療をうけて、症状はよくなり2週間で退院することができました。
消化管のGVHDがよくなってからは、移植開始後から飲んでいるGVHD予防のための免疫抑制剤や消化管のGVHDに対して処方された免疫抑制剤は徐々に減らしていきました。移植を受けて半年で免疫抑制剤は一旦終了となりました。しかし免疫抑制剤をやめたあとから肝臓の数値が悪くなり、肝臓のGVHDと診断されました。もともと飲んでいたものと別の免疫抑制剤で治療を受けましたが効果がなかったため、再度入院して消化管GVHDの時に処方された免疫抑制剤で治療を受けました。すると肝臓の数値は徐々に良くなりましたが、免疫抑制剤の副作用で筋力が落ちてしまい、歩くのに杖を突くことが必要なほどになってしまいました。またその他に、軽度の糖尿病や睡眠障害も発症しました。GVHDと免疫抑制剤の治療のために合計2か月の入院が必要でした。
その後一定の期間を置いて、今度は息がしづらいと感じるほど咳が出るようになりました。そちらの原因を特定するのには時間がかかり、肺のGVHDの症状と判断されてから免疫抑制剤の量を増やしてもらって咳の症状はよくなりました。しかし息切れの症状が治療後も残っています。
3. CLLは落ち着いているが、いつまでも消えない不安
CLLに関しては幸いにして移植を受けてから4年以上(※インタビュー実施時点より)が経過していますが完全寛解を維持することができています。しかしまた再発してしまうかもしれないという不安は払しょくできていません。またGVHDもいつ症状が悪くなるかわからないと思っています。