慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんの
体験談

  • 掲載している体験談は、個々の患者さんのご経験をインタビューした内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。
  • 診断や治療などは当時のガイドライン等に基づいて行われております。
  • Aさん 60歳代 男性 経過観察後治療中

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    Aさん 60歳代 男性
    経過観察後治療中

前編

経過観察の3年間を経て開始したCLLの治療

1. CLLの診断(20xx年 50歳代)

50歳代の時に職場の定期健康診断で白血球が多いと指摘を受けました。かかりつけクリニックを受診したところ、電車で30分ほどの大学病院を紹介されました。大学病院への紹介状をもらった時はさすがに不安になったのを覚えています。骨髄穿刺など追加の検査をいくつか行って1週間ほどでCLLと確定診断されました。腸骨からの骨髄穿刺が一番つらかったです。
1.  CLLの診断(20xx年 50歳代)

2. 経過観察、セカンドオピニオン(20XX年 50歳代)

大学病院の主治医から「あなたの場合、急激にどうこうしないといけないというものではないので様子を見ます」と言われ、数ヶ月に1回通院して血液検査をするだけの経過観察を開始しました。自分としては、特に自覚症状もなかったし、大きく落ち込んだり心配することはなかったです。ですが、周囲からのアドバイスもあり、セカンドオピニオンを受けることにしました。インターネットで血液内科の専門医を調べて、主治医とは異なる意見・考えを持っているかもしれない病院の先生を選択して、紹介状を書いてもらいました。結果として、セカンドオピニオンと、大学病院の主治医と治療方針の見解に違いはありませんでした。そのため、納得して大学病院の主治医のところでこのまま経過観察や治療をしようと思えました。セカンドオピニオンを受けて良かったです。

3. 治療の選択 (20XX年+3年 50歳代)

主治医からは元々、「白血球数が8万を超えたら治療開始」と言われていました。約3年間の経過観察中に徐々に白血球の数値が上がっていき、主治医から「すぐに治療を始めましょう」と宣言されました。
主治医は、「完全に治そうと思えば骨髄移植しかない。Aさんの場合は仕事しながらでもできる内服療法でいいのではないかと考えている」「Aさんの場合は、化学療法で寛解状態に長い期間持っていける」と提案し、使う薬の副作用など詳しく説明してくれました。自分は仕事を続けたかったし、主治医の考え・指示に従って治療を開始していこうと思っていたこともあって、内服療法を開始することにしました。骨髄移植は、治療のために入院をしなければならないということもあり、自分としても希望はしませんでした。

4. 1次治療開始(20XX年+3年 50歳代)

1次治療は2週間に1度の通院で内服治療でした。この治療は副作用として貧血を起こすことがありました。電車での通勤途中に立ちくらみが起き、タクシーを使って通勤したことや、仕事を休んだこともありました。1次治療を始めて2年たったくらいからは、治療と合わせて輸血、さらには副作用を抑えるための薬剤を投与していました。1次治療は3年間くらい続きました。
4. 1次治療開始(20XX年+3年 50歳代)

後編

仕事と両立しながら続けてきたCLLの治療と今感じていること

1. 2次治療開始(20XX年+6年 50歳代)

1次治療の副作用として貧血を起こしていたこと、また治療と合わせて輸血が必要な状態になっていたことから、治療薬が変更になりました。2次治療では、運よく初回内服の2か月後には寛解状態になりました。その後は数か月おきに血液検査でフォローして、数値が徐々に悪化した1年後にまた再投与という流れを何回か繰り返して治療を続けました。自分にとって2次治療は、結果的に1年に1回の内服で済みました。飲んだ直後の副作用の貧血に対して輸血をすれば、それ以外の期間は治療せずに済んだのでとても楽でした。この治療は5年くらい続けることができました。しかし、運の悪いことにコロナが流行し始めました。2次治療の副作用の一つに免疫低下があり、コロナ流行の中で続けることはできないという判断となり、2度目の治療薬の変更となりました。
1. 2次治療開始(20XX年+6年 50歳代)

2. 3次治療開始(20XX年+11年 60歳代)

3次治療が始まり、分子標的薬を使用することになりました。「治療の最初は悪い白血球が一気に出てくる」と主治医に言われ、実際3次治療の開始直後に白血球数が28万くらいまで増えたので驚きました。その後はなかなか白血球の数値は下がらずに5万~6万台で推移していました。最近になってようやく3万台まで下がってきました。分子標的薬なので、1次治療・2次治療の副作用のメインだった貧血の症状は出なくなりました。貧血がなくなって全体の体調が良くなった代わりに、分子標的薬の副作用で、手荒れの症状が出ています。体調の点ではこの治療に替わって良かったと思っています。2ヶ月に1回の受診と毎日の内服を今も続けています。

3. 仕事と治療の両立(20XX年+3年~退職まで)

職場はもともと三交代制の現場担当でした。50歳代の時にCLLと診断を受けて経過観察をしている間、万が一治療が始まっても仕事と治療が両立できるようにしたいと考えていました。そのため、あらかじめ上司に相談して、治療を本格開始する前に日勤勤務ができる内勤担当に配置換えしてもらいました。治療開始後は、貧血によりたまに休むことはありましたが、1次治療から3次治療を通して一度も休職はせず、退職するまで仕事と治療を両立することができました。職場環境や仲間に恵まれたおかげだと思っています。
3. 仕事と治療の両立(20XX年+3年~退職まで)

4. 治療中の今、感じていること

薬代が高額なこともあり、経済的な部分に時々不安を感じることがあります。とはいえ、CLLの治療を続けていることで生活に過度な制限が生まれたりもしていません。これから治療を始める人や診断を受けて不安に感じている人には、過剰に心配しなくてもいいのではないかと伝えたいです。また、自分がCLLと診断された時にはまだ実用化・発売されていなかった分子標的薬を使うことができています。自分が使っている薬の他にもまだまだ新薬は開発されていて、医療の進歩を実感しており、これからの希望を感じています。