慢性リンパ性白血病(CLL)の
治療の基本的な考え方と治療目標

慢性リンパ性白血病(CLL)は検査結果と症状によって治療が決められ、すぐに治療を開始しない場合もあります。このページでは、CLLの治療に関する基本的な考え方と治療目標についてご紹介します。

慢性リンパ性白血病(CLL)の治療の考え方:検査結果と症状によって決める

CLLでは、治療をしないという選択肢があります(詳しくはこちら)。治療は、「血液検査の結果」と「症状の有無」から、病気が活発かどうか(活動性)をみて決められます1)
CLLでは病気の活動性が低かったり、症状がなかったりする場合は慌てて治療をしなくてもよいとされています。
治療開始を決めるまでのフローもご覧ください。


  • CLLと診断される
  • 血液検査、症状(活動性)の確認
  • 検査結果は悪くなく
    症状もない
  • 無治療経過観察
  • 血液の異常、
    かつ/または症状がある
  • 治療

慢性リンパ性白血病(CLL)は治療をしなくて大丈夫?

CLL(血液のがん)と診断されているのに、治療しない……と、心配になるのもごもっとも。
これには理由があり、患者さんにとっても良い選択肢といえます。

【理由】2)

  • CLLは、ゆっくりと進行する場合が多い
    (進行が速いタイプもまれにあり、その場合は治療します)
  • 早期のCLLで治療をしても、症状が出てから治療をしても患者さんの生存期間に大きな差は生じなかった

慢性リンパ性白血病(CLL)の治療を開始する目安1)について

CLLでは、以下のいずれかに当てはまると治療を考慮します。

  • 貧血、血小板減少
  • 治療しても改善しない自己免疫性貧血や血小板減少症
  • 脾臓の腫れ(脾腫)
  • リンパ節の腫れ
  • 2ヵ月以内に50%を超えるリンパ球の増加
  • 皮下出血など骨髄以外に現れる症候性または機能的な問題となる症状
  • 過去6ヵ月以内に10%以上の体重減少
  • 労働や日常生活が困難なレベルの疲労・倦怠感
  • (感染症ではないのに)2週間以上続く発熱
  • (感染症とは関係のない)寝汗 など

慢性リンパ性白血病(CLL)の治療について

慢性リンパ性白血病(CLL)には、CLLと診断されたが症状がない場合に治療せず過ごす「無治療経過観察」、抗がん薬や分子標的薬といった薬剤が使われる「薬物療法」、放射線でがん細胞を死滅させる「放射線療法」、ドナーの造血幹細胞を移植する「造血幹細胞移植」といった様々な種類の治療法があります。詳しい治療内容については、慢性リンパ性白血病(CLL)の治療の種類をご覧ください。

慢性リンパ性白血病(CLL)の治療目標

近年、様々な治療薬が登場し、高い効果が得られるようになってきています。しかし、CLLは「ずっと付き合っていく病気」と思っていただいたほうがよいでしょう。
治療の目標は、患者さんの年齢や家族、人生観などで患者さんごとに違うはずですが、患者さんの希望する生活を長く快適に送れるようにすることが共通の目標です。そのために、下記のような治療方針について医師と相談して決めていくことになります3,4)

■ 異常なB細胞(CLL細胞)をできる限り減らす

奏効を長く続ける

「奏効」とは、がん(腫瘍)が小さくなったり、なくなったりすることです5)。つまり、異常なB細胞(CLL)の減少・消失を長い期間保つことが目標の一つになります。

異常なB細胞(CLL)の減少・消失を長い期間保つ

■ 患者さんのCLLに起因する症状を和らげて、できる限り快適な生活を送っていただくようにする

治療を続けていくと、副作用で困ったり、精神的なつらさを感じたりすることがあります。我慢することはありません。医療従事者に相談し、支持療法や緩和ケアを利用しながら、快適な生活を送りましょう(支持療法の詳細はこちら)。

快適な暮らし

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